2017年11月のミラノショー(EICMA)での発表後、2018年4月には日本でも発売されたホンダの新製品 CB1000R。
今回はこのホンダの最新ネイキッドを一日乗る機会があったので、僕なりの目線でレビューしてみたいと思います。
レンタルバイク等でもまだ出回っていないモデルですので、購入を検討される方の参考になれば幸いです。
概観
CB1000Rの横っ面です。かっこいい。
コンセプトモデルをそのまま製品化したような、近未来的なデザインが非常にクールです。
「Neo Cafe Sport」という、新しいCBのコンセプトを元にデザインされたバイクとのこと。
黒とシルバーを基調としたカラーリングに、真っ赤なHondaのウイングマークが映えます。
リアフェンダーは、最近のバイクらしくスイングアームから生えたタイプなので、テールカウル周りがとてもスッキリしています。
ドゥカティやMVアグスタでよく見られるデザインでしたが、最近はヤマハのMT系のモデルでも同様の意匠が見られるようになりました。
続いて、斜め前からのビューです。
大きなラジエーターとそれを囲う銀色のシュラウド。
角の立ったタンクも相まって、非常にマッシブな印象を受けます。
ハンドルバーもワイドで、ミラーも横基調のデザインなので、力強そうです。
普段輸入車に乗っている身からすると、いかに自分でもオイル交換のしやすそうなエレメントの位置が大変好印象ですね。笑
灯火類
続いて、ライト周りを見てみましょう。まずは、ヘッドライトです。
非常にアイコニックなヘッドライトになっています。
ヘッドライトはロービームもハイビームも全てLEDで、夜間走行もしましたが明るさは必要十分。怖さを感じることは全くありませんでした。
夜になると、さらに特徴が際立ちますね。
ライトの周りをくるっと囲むリングももちろんLEDで、綺麗に発光しています。
ウインカーも全てLEDなので、従来のバイクに比べるととてもスリムで光量も増しているのがわかります。
このパーツはCB1100RS等のHonda車と共通部品ですね。
さて、テールライトをみてみましょう。
こちらもヘッドライトの意匠と同じく、半円状のLEDが灯ります。
光量のあるLEDのおかげで純正テールランプにしては非常に小ぶりなので、
タンデム時は後ろの人の衣服等でライトが隠れないように注意が必要です。
メーターまわり
続いて、オーナーが普段いちばん目にするメーターまわりのインプレです。
最近のホンダのブームなのでしょうか。
メーターは反転液晶になっています。
昼間の直射日光があたる状況だととても見にくくなります。
メーカーさん、なんとかなりませんでしょうか…。
CB1000Rはモードの切り替えもついていますので、
T:トルクコントロール
EB:エンジンブレーキ
P:パワー
の今の出方が一目で確認できるインジケーターが右側についています。
出力を抑えてトラコンを強めするRAINモードも搭載しているので、雨の日でも安心です。
CB1000Rはクラッチを握らずにシフトアップとシフトダウンができるクイックシフターを搭載しています。
発進時以外はクラッチとスロットルの操作が不要になりますので、握力に自信のない方や、渋滞にはまりがちな方にもおすすめですね。
クイックシフターの感触は、1-2速のシフトアップがガクつく以外はフィーリング最高です。上手にブリッピングしたような音が自然に決まるので、思わずにやけます。
また、各種チェックランプ系はメーター下部の黒い部分に表示されますが、
消灯時はピアノブラックのメーターとほぼ同化しますので、目立たずクールですね。
夜になるとこんな感じです。
昼間はとにかく見にくかった反転液晶も、夜になると今度は文字が浮かび上がる幻想的なメーターに変わります。
チームラボみたいですね。(言い過ぎ)
肝心な走り
さて、肝心な走りのレビューです。
第一印象
今回は東京都の自宅から下道を15kmほど走り首都高に乗り、
湾岸線を経由して大黒PAを通って、C1都心環状を走って帰るルートです。
(私のプチツーリングの定番ルートです。峠やワインディングこそありませんが、リフレッシュするにはもってこいのコース。)
乗ってみた第一印象は、とにかくカチっとしています。
車重は212kgと非常に軽いので、多少フラつくのではないかと心配していたのですが、完全に杞憂に終わりましたね。
ハンドルがバータイプの幅広なため、まるでストリートファイターのようなポジションでバイクを抑えるように乗れます。それもあって安定感が増しているのかもしれません。
ちなみに、ハンドルはつや消しシルバーで、表面が少しザラザラしている塗装仕上げになっています。
スマホホルダーやGoProマウントを取り付けするスペースもたくさんあって、ツーリングライダーには嬉しいポイントです。
エンジンのフィーリング
エンジンの感触は、ズバリ滑らかです。
いわゆる鼓動感のような楽しみはありませんが、スロットルに連動して意のままにスムーズに回転数が上がります。
実はこのエンジン、先代のCB1000Rに搭載されていたものと同じ型のエンジンなんですね。
私はスペックや最新技術至上主義ではないので、熟成の進んだエンジンはむしろ安心感があって良いと思います。
そして、ひとたびモードをSportに切り替えると、驚くほどパワフルな走りに様変わりします。
普段のんびり流して乗っている私には、怖くて腰が抜けそうになるくらいのパワー感でした。
それもそのはず。このCB1000Rは位置付け的にはCBR1000RRのネイキッドバージョンで、エンジンもかつてのSC57型CB1000RRのものを最適化したものだからです。
何よりも一押しポイントは、音です。
騒音規制の考え方が少し変わったおかげで、最近のバイクはノーマルマフラーでも驚くほど良い音がしますが、このCB1000Rも例に漏れず。
湾岸線のトンネル内に、心地よいサウンドを響かせることができました。
(制限速度は守りましょう!)
燃費
下道、高速道路それぞれ走行しましたが、
満タン法による燃費はこんな感じでした。
下道:15~16km/L
高速:19~20km/L
燃料タンクが16L入りますので、ツーリングも全く問題なくこなせます。
足つき
なにげにこれが気になって、一歩を踏み出せない人もいるのではないでしょうか?
SC80型 CB1000Rのシート高はなんと830mm。
身長168cmで脚が特に短い私も、当初は足付きを心配していました。
ところが、バイク本体が軽いことと、シート左右が削られていることのおかげで
つま先だけの接地でも恐怖感なくバイクを支えることができたのです。
足付きが原因で多くのバイクを諦めてきたライダーさん、ぜひ一度CB1000Rに跨ってみてください。
きっと少し自信が持てます。笑
ここだけが不満!
見た目のかっこよさ、走りのカッチリ感、エンジンのフィーリング、足付きと、
基本的には文句なしのCB1000Rですが、一個だけ許せない点があります。
それは、「安っぽさ」です。
本体価格が164万円もする高級バイクなのにも関わらず、各所がとにかく安っぽい。
安っぽさの原因は明確で、むき出しのプラスチックです。
黒いタンクに浮かぶ真紅のホンダウイングマーク。
この台座も、ほら、プラスチック。
また、ラジエーターまわりにメッシュ状のデザインを施された樹脂パーツがあるのですが、ハンドルロックをかけて駐車するとこれがまたよく目立ちます。
そして、極め付けはメーターの裏側。
正面からみて一番見える部分がこんなプラスチックで…
このあたりの感性は人によって本当に変わりますので、私のように気になる人は、
一度パーツを外してピアノブラックに自家塗装するのが良いでしょうね。
まとめ
CB1000R、まとめると本当に良いバイクです。
見た目は非常に近代的ながら、運転しているとこれぞHonda車!という安心感を覚えます。
デザインを優先したバイクは往々にして何かを犠牲にしていることが多いなと感じますが、
このCB1000Rは写真映えもしますし、ツーリングもこなせますし、何より乗っている人が少ないのでツーリング先でも注目を集めること間違いなしです。
CBといえばホンダ伝統のネイキッドバイクですが、ホンダが作り上げたCBの常識を打ち破り、新たな世界観を創りにきている次世代のバイクのような印象を受けました。
もしお店で見かけたらじっくり観察して、そのまま購入してみてください!
ありがとうございました!